【オリジナル】対談/後編 ラクサス・テクノロジーズ株式会社 代表取締役 児玉 昇司 × 株式会社ものばんく 代表取締役 吉田 悟

【オリジナル】対談/後編 ラクサス・テクノロジーズ株式会社 代表取締役 児玉 昇司 × 株式会社ものばんく 代表取締役 吉田 悟

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お互いのリソースをシェアしあうこれからのビジネス

児玉:うちの様な規模になってくると、利益が出ている商品でも、もっとより回転が良い商品などに入れ替えながら循環していかないといけなくなるんですね。そして、そのためには在庫も適正に評価して、データをきちんと定量的にとった上で、定期的に在庫も売却していく必要があるんですが。こういった在庫の適正評価含め、販売するときの価値とか、販売ルートとか、そういうところも、アドバイスなりお力添えいただけたらなと思っていまして。

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吉田:是非是非。あともう一つ、冒頭の方でお話ししたように、御社がこれから事業をスケールしていく中で、より在庫が必要になってくると思うんですけど、それを全て自社で抱えていくっていうのもこれまた大変な話で、オフィスビルが何軒いるの?っていう話になってきますよね?

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児玉:はい。

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吉田:そこで僕が思うのは、質屋って蔵を持っているんですね。これは警察からの許可がいるようなきちんとした蔵で、うちも地下一階から3階まで、24時間365日完璧に空調管理されているしっかりとした蔵を持っています。そういった蔵が、全国に2000拠点あるわけです。

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児玉:なるほど。

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吉田:それを質屋と捉えずに、2000箇所の拠点として捉えた時に、新しく生まれうるビジネスが潜んでいるんじゃないかなと思っていて。その選択肢の一つにラクサスエックスとの組み合わせというのもあるんじゃないかと思ったりします。

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児玉:そうですよね。

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吉田:それと、昨日も大阪の20代の若手のバイヤー十人くらいと飲んでいまして、彼らは各々、バイヤーとしての知見と買う能力を持っています。現状は、その彼らと御社のバイヤーとが競り合ってものを買っているわけですけど。これ、無駄じゃないかなと思って。

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児玉:そうなんですよね。

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吉田:彼らは会社に属していたり、自分のお金でやっていたりと様々ですが、まさに昨日の彼なんかは、うちのオークションで800万円買ってくれて、僕のところで買いすぎたから、他のところにいけない、と。要するに、資金ボリュームは限られている、というわけなんですね。買うスキルは持っているけど、資金にキャップがある。そんな彼らを僕は上手く活用してあげたいと思うので、その辺、上手くマッチング出来たらいいんですけどね。

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児玉:なるほど、スキルはあるけど資金にキャップがある、と。なら、私たちが資金を出して、私たちの買い付けを彼らに担ってもらう、ってことですよね。いや、ほんとバイヤーのシェアっていうのは僕も大事だと思っています。

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吉田:スキルシェアですよね。

児玉:スキルシェア、いや、それは素晴らしいですね。うちも今はどんどん買っている時期なのでコストをかけてもバイヤーを自社で抱える必要はあるんですけど、一旦一定の資金を使い切ったら、次の資金調達まで買い付けをストップする時期もある。そうすると、コスト的にもその期間にバイヤーが辞めざるを得なくなったりとかするんですね。一方、他社さんの有価証券報告書とかを見ると、リスクはバイヤーが辞めた時のことって書いてあるから、バイヤーはすごく大事なんだなとも思います。

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吉田:そうですね、特にオークションで買えるバイヤーというのは限られていますから、彼らの存在は貴重です。そして、彼らに資金のキャップがなくなると、彼ら自身、買えるモノの範囲や知見も広がり、バイヤーとしてのスキルがさらに上がる。

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児玉:そうですよね。

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吉田:例えば、御社の方から、これとこれを必ず買っといてみたいなオーダーがバイヤーに来て、どこまで予算を取りますか?みたいなところだけは御社とやりとりさせていただいたり、その辺をうまくテクノロジーでシステム化出来れば、協業できる可能性があるんじゃないのかなと。

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児玉:そうですね。逆に例えばバイヤーさんの方が、うちの在庫の中でプレミアが付いていて高く売れるよっていうものなんかがあれば、それは高く売ってもらってもいいと思うんですよね。うちはいくら以上なら売っていいっていうラインを示せるので。
そもそも、うち、そんなプレミアムな商品じゃなくていいので。でも、うちには3万点以上在庫があるので、そういったものも眠っていると思います。

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吉田:あると思います。そして、そういった関係の中で大事なのが、一回一回のやりとりの中で駆け引きしていって利益を取りに行くのではなくて、まとまった全体の取引の中で、フィーを透明化するというか。そこが僕らの業界では体質的に難しいところなんですけど。だからこそ、こういった新しいモデルを確立したいとも思っていて。

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児玉:そうですね、継続し続けるものに関して、そうやって個別の取引単位でやるとうまくいかなくなると思います。

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吉田:これ、広げていけるといいですよね。質屋業界は今かなり疲弊していましてね。でも、彼らはスキルを持っているので、それをうまく組み合わせることで、御社が欲しいものと、私たちの強みとがうまくマッチングするだろうし、その辺がうまくできるといいなと思っていて。



データドリブンであることの重要性

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児玉:そうですね、そして、やっぱりデータに基づいて動いていきたいですね。リスクって数字で限定出来れば、それはもはやリスクではなくなると思うので、こういったものは考えるよりデータを見るべきだと思っています。

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吉田:そうですね、なかなかそれができない業界なんですよね。僕は、最終的にはユーザーがデパートに行ってスマホをかざすだけで、ロレックスのリセールバリューだとか、ブランドバックのリセールバリューが見られるようになる世の中。そういった、データが可視化される世の中を作りたいと思っていて。そうなると、二次流通の側から一次流通側に影響を及ぼすことも出来る。

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児玉:素晴らしいですね。

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吉田:そういう風に考えると、私たちと御社は、やっていることは違うけど、ある面では同じような世の中を作ろうとしているので、なんかうまく共創していけることがあるんじゃないかと。

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児玉:おっしゃる通りで、うちもユーザーから持ち込まれる物の中で、うちとしては「レンタルのニーズとして考えると、いらない物」もあるんですよね。でも、まとめて借りてあげたりもするので、そういった在庫はたくさんあります。
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吉田:うんうん。

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児玉:で、もちろんその中には、仕入れ値よりもずっと高く売れる美味しい商品もたくさんあるんだけど、うちとしてはそこに人件費をかけて力を入れるつもりもないので、だから、それをまとめてどこかが買い取ってくれたらと思います。

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吉田:そうですね、だから、そのように御社のサービスの中ではあまりニーズはないけど、私たちのオークションマーケットでは必要な商品っていうのは全然あると思います。そういうのがまさに異業種同士の共創で生まれるシナジー効果ですよね。そういうものも、まさにデータで見える化できるといいですね。

これからの日本の企業の在り方

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児玉:日本の企業って本当になかなかお互いに協力しないですよね。協力しないと世界では勝てないと思うんですよね。日本って、日本の中だけで戦っていて、その辺のマインドチェンジもしていかないと、世界と戦っていくことは出来ないですね。もっと、企業同士が仲良くしないと。

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吉田:そうですね。本当にそうだと思います。

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児玉:一からそれぞれがデータを集めるより、「データ貸してください」「その分対価払います」って方が建設的ですよね。

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吉田:そうですね。情報は持っている側がどんどん流していくべきだと思っていて。だから、こういった情報配信っていうのもすごく大事だと思っています。でも、ここをやっていくことの必要性をわかっている人が、この業界にはあまりいないんですよね。

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児玉:なるほど。

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吉田:やっていることが同じように見えても、見ているところの違いがあって、僕たちは現場の質屋さん含めた業界全体をどうやって大きくしようかと考えている。それって、別に綺麗事ってわけじゃなくて、そうすることが、結果的にマーケットを大きくすることにもなると思っていますからね。そういうことを考える人が少ないからこそ、この業界はチャンスが眠っているんだと思います。

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児玉:そうですよね、まさにこの二次流通業界はIT化が進んでいないですもんね。

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吉田:まさにそうで、いまだに弊社が発信している情報の7割以上がファックスですから。現代のこの世の中で。(笑)

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児玉:僕も、それはびっくりしました。

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吉田:なので、ぜひ今後お互いの得意なところを協力しあって、何かしていけたらいいなと思っています。今日は、本当にありがとうございました。

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児玉:こちらこそ、ありがとうございました。

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競争から共創へ。異業種シナジーで生まれる新たなマーケットの可能性についての対談、後編です。

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