対談|Aithree 代表 接客接遇講師 小森 真白  ×  株式会社monobank 代表取締役 吉田 悟

対談|Aithree 代表 接客接遇講師 小森 真白 × 株式会社monobank 代表取締役 吉田 悟

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monobankでは今年から、接客接遇コンサルタントの小森先生をお迎えして接遇研修を毎月行っています。小森先生のご指導の下接遇のスキルを上げ、 お客様に喜んでい頂ける接客を目指しています。今月号は小森先生に「接客接遇」についてお話を伺いました。



吉田:今日はよろしくお願いします。

去年の10月に北九州で大きな買取りがあったんです。その時に僕が、某宝石サロンの個室で査定させて頂いていたんです。それで大きな金額が決まったんですね。

その時に、大きな金額を持っていくので新人を連れて行ったんです。その帰り際、ライバル店があったので、新人の買取りの体験にと思って行って来てもらったんです。

その時に僕が付けた金額よりも、そのお店の金額は3割4割くらい安かったんです。ただその子の印象としては、「そっちで売りたい」と。なぜならば、接客応対が凄く気持ち良くて、 その空間も居心地が良かったと。だからこれだけの高い物を売るなら、そういう空間で売りたいって言われたんです。「monobankのこの店舗では売りたくないです」って言われて。

結構その子、B型なんでズケズケ言うんです。あ!別に僕はB型が嫌いなわけじゃないんですよ!(笑)


あはははは!私もB型です。(笑)


それを聞いて、うちも何か変わらないといけないと思ったんです。それで小森先生にお願いをするようになりました。


ありがとうございます。


どうですか?質屋さんに接遇とか入った事ないでしょ?


わたしもカルチャーショックというか、割と陰のイメージがあったんです。

日常生活に質屋さんに入る事ってあまりないですよね。


ないですね。


私達は売る方で、買取りっていう感覚に最初は違和感あったんです。でも接客は一緒だなって。それと客層が私のイメージしていたのとは違いました。 そこをmonobankさんが狙っていらっしゃるから、逆に今までやっていた事が凄く活きる世界だなって思いました。


なるほど。僕らも物を買わせて頂くほうなので、何かを売るのと全然違うでしょ?

行為が全く逆で、高い値段をつける事が僕らの中の至上命題なんです。高い値段さえつければ買取れるという感覚の仕事だったんです。 そして小森先生にミステリーショッパーして頂いて、今でも凄く心に残っている言葉があるんです。

「皆さんがやっているのは、接客じゃなくて作業だ」っていう言葉。なるほどなって、そういう考えって確かになかったなって、目から鱗でした。

そして小森さんに接遇に入って頂いて半年、お陰様で随分と前に進んでいるような気がしています。


ありがとうございます。

社員の方が私の言葉を受け入れてくれて、今はやっと自然に馴染んできた感じがします。前から受け入れてはくれていたんだけど、 それが今度は実践してこうだった、ああだったとフィードバッグも頂くようになりました。それは凄く嬉しいです。


いや、いろいろありましたよ!(笑)


あははははは!


小森さんに接遇のコンサルに入ってもらって三か月目くらいかな?いろいろと内部の・・・(笑)僕らの業界はすごく閉鎖的で、 家や会社から出られない仕事なんです。うちの場合はスタッフがいるので僕は出る事が出来るけど、質屋は父ちゃん母ちゃん商売なので基本、家から出られないんです。

そうすると、内側の自分たちの世界の中での文化が広がっていくので、外から何か新しい文化が入ってくる事は無い業界なんです。 そういう意味では、うちは初めて外部の人が入ってきた事で混乱はありましたね。


ありました?!私の耳にはまだ届いていない!(笑)

でもそれは何となくわかっていました。色々と何かあるなというのは感じていたので。でもこの膿を出し切ったらっていうところがあって。

内部的な物って、やっぱり外側に出てくるんです。お客様って感じるものがあるから。


あると思います。お店の雰囲気ってあるじゃないですか?内側が変わっていかないと、お店から出る雰囲気も変わっていかない。

僕たちがターゲットにしていきたいお客様の層は、そういう空気が出ていないと来て頂けない層なので。だからそういう意味では接客接遇は凄く良い時間だなと思います。 これから「進化のスピード」というのが、やっと乗っかってくるかなと思っています。それでもまだ全社員が足並みを揃えているかと言われたら、 そうでもないですけどね・・・。反発という意味ではなく、乗っかるか乗っからないかってあるでしょ?まぁ、全員が乗っかったら奇跡みたいな話ですけど。(笑)


逆にそっちの方が怖いです。うまくいったらあとの反動が来るから。絶対に何かあるのが普通なので。だからそこは仕方ないかな?



どういうところに入る事が多いんですか?


最近は多種他業種。どちらかというと美容関係が多いですね。

でも先日行ったところはショッピングセンターの中の清掃作業の方達です。本来なら作業ですよね。でもそこでも接客をしましょうと。それで1年が経ったかな?デベロッパーさんから 「雰囲気が変わったね」って社長経由からの声を頂いて。でもやっぱり1年かかったんですよ。その方達は接客をしにじゃなく、作業しに入社をしてきたんですよね。だから意識改革っていうのは本当に大変でした。


色んな業種があって色んな企業スタイルがある。基本的には資本主義のひとつの仕組みがあって、その仕組みの中で仕事って流れていたと思うんですよ。

でもそれは今、分断されているんじゃないかって経営者として思っているんですよね。

今まで当たり前に流れてきていた仕事が、受ける側が一工夫していかないと仕事が回って来なくなってきている。その一工夫のひとつが接客接遇。まぁ、他の事でもあるとは思っているんですけどね。


そうですね。他業種っていうのは、やっぱり他業種に必要とされているんだなって。

医療関係もそうで、今まで必要としてなかったところからのオファーが多い様な気がします。接客接遇から今度は、お客様だけの接客接遇だけでいいのかっていう事。「いやいやそれは内部のものがお客様に伝わります!」 という事で、社内の風通しだったり、雰囲気とか社内のコミュニケーションがうまく取れているか、それが全て含まれて初めてお客様に届くという感じです。


きっとそうです。接客接遇っていうのはある種、テクニック的なものがあるじゃないですか?でも「心」っていうのももちろんあって、小手先だけのテクニックだけで届くわけがない。 でも小手先のテクニックを磨いていかないといけない。このバランスって凄く難しいです。指導に入られる時、どちらを優先されていますか?


最初は分かりやすいから形から入る。それからコミュニケーションをとっていくうちに内面的な物が出て来ます。まずは形から入っていってそこからですね。そうしていかないと、ナイーブな方は反発的になったりするので。


辞める人も出てきたりしますよね。それは仕方のない事だろうなとは思うんだけど。

各企業、大なり小なりやっぱり企業文化があって、その中に外から入っていくってなんか、転校生みたいな感じですよね。


そうそう!だから企業に入ると必ず抵抗があります。そこに入り込むのに私も自分の中でいろいろありました。でも、それはもう仕事なんで。


アイアンマンになったんですか?(笑)


あはははは!アイアンマンまではいかないですけど。

割り切りも必要だし、自分でも勉強したし、あとはブレない事。どちらに向いて、 どこに向かっているのかってブレないよう、そこはしっかり持つようにしています。



僕もやっとです。人の感情を入れてしまうと、そこに向かっているんだけど、人間ってそこをぼやかしてしまうじゃないですか?僕はその現場でその人に嫌われるのはあまり好きじゃないので、何とか良い方向に持っていこうとすると、 その子の前ではオブラートに少し包んでしまう。でもそれは結果的には良くないなって思うようになりました。


そうですね。特に女性は感情的に動く事があると思うし、男性の上司が女性の部下に対してっていうのはある意味難しい部分があります。

私も指導する時は男性よりも女性の方は気を使うというか、言葉は考えます。


へーーーー!男は単純ですか?そういう意味では。(笑)


単純っていう言い方が適しているかどうかわからないですけど、ストレートに言っても残らない。それを改善するかは別にしても、根に持つ事はあまりないかな?

だから冗談で「やんなさいよ!」って肩をポンって叩くくらい、何回も言った方が良いくらいなんですよね。


女性の場合はその辺、難しい所はあると思います。ただ僕らの業界は、これからは少し、女性視点の角度を入れていかないといけないかなって思っています 。僕もやっぱり発想は男性的と思うので、女性の切り口はいるなと。僕らの業界はそこがかけているんです。


ずっと男社会で成長されてきたんでしょうね。


そうですね。例えば今、ターゲットとして団塊の世代より上の世代の層をどう獲得するかって目指してやっているんです。そういった時に、男性のバイヤーと女性バイヤー、どちらが出てくるのが良いと思いますか?


男性でもOKだと思うんですよね。だけれども、見る視点ではあまり若いと、ちょっと大丈夫かな?って不安にもなります。逆に若いのであればそれをカバーする何かがいると思います。例えば身に付けているものだとか。 高級な物というよりは清潔感のあるもの。 あとは物腰の柔らかい喋り方ですよね。ゆっくり喋るといったテクニック的なものとか、そういうのはあった方が良いと思います。見た感じ、「信頼」が出来るかどうかが大事です。


僕の中では「自信」というのを出すという事を心掛けていました。父が現役でやっていた頃、僕も若かったので必ず「お父さん呼んで!」って言われていたんです。やっぱり悔しくて。 それから5年くらい勉強して、僕も物が分かりだしてくると「自信」に変わってきた。それは凄く大事なんじゃないかって思っているんです。


それはやっぱりお客様は人生の先輩ですから、見破られますよね。



僕らの仕事は「目利き力」、「鑑定力」がどれくらいあるかだと僕は思っています。

だから僕らは「接客力」と「査定力」を身に付けないといけないんですよね。


査定の技術がどんなに高くても、接客接遇が出来なければ査定も活かされないと思うんです。逆に接客接遇だけになるとどうなのかなって見られる。 だから本当にバランスが大事だと思います。だけど技術が活かされるのは、「接客力」かなと思います。


本当にそうだと思います。僕らは業界全体がそこに向かって行くべきだと思っています。僕が勝手に厳しいと思っているんですけど、僕らがターゲットにし続けてきたこの20年間、その層は売り尽くし感がある。

売りつくしていない、今から取らないといけない層っていうのは、今までターゲットにしていた層とは全く違うんです。その層の方達は、上質なサービスを受けてきた方達なんです。そういう方から買わせて頂くには、 そのレベルに合った上質なサービスを提供出来ないと置いて行ってくれない。ここをターゲットにすると僕らの業界はまだまだ伸び代があるんじゃないかって思っているんです。思い込みですけどね。(笑)


いやでもそれ、分かる気がします。次のターゲットはバブルを境にしている方ですよね?あの時は良い物を持っていたし、良い物見ていたのでそういうところですよね。


その方達が世代交代を迎えてきた中で、バブル以前の時代だと代々受け継いでいくとう感じ。その当時の価値観としては、一生懸命働いて、お金を稼いで、良い物をつけて、 家を建ててっていうのが最上の価値観のひとつだった思うんです。

でもバブル以降はそこが分断されてしまって、これからはお父さん、お母さん世代がこれをお前達に残すよって言っても、「こんなのいらないからお金に換えてよ!」 って言う時代なんです。その方達が今から売却していくときに、髪がツンツンの茶髪の兄ちゃんがいるような、スタンドアップカウンターの質屋や買取りに持っていくかって言われたら、行かないと思うんです。


そうですね。


だから思い切って業態転換していかないといけないと。


そういう意味ではmonobankさんは個室にして、業界のイメージは随分変わるんじゃないかなと思います。


個室でお客様の対応をさせて頂くときと、店舗で僕らが座ってお客様が立って接客させて頂くときと、不思議なくらい違うんですよね。


お客様と対等になりますよね。


店舗だと質屋のある種文化だと思うんですけど、恥ずかしいだろうから早く帰してあげなきゃいけないと思ってしまうんですよね。


お客様が随分変わって来たし、社会が変わってきた。

伝統も大事だけど、変わらないといけない所もありますもんね。


でも変わるって中々難しい!(笑)


でも変わってきているから。



お陰様で変わってきています。ちょっとずつですけど、本当に変わってきているし楽しいです。トンネルを出たら会話が全てポジティブになってくるような気がします。 小森先生のコンサルでまたmonobankがどう変化するか楽しみです。

これからも宜しくお願いします。

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monobank auction 旧「いちばから」2016年7月号の掲載記事です。

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