対談|第2回/全3回 ファミールカンパニー株式会社 代表取締役 柳本 公則 × 株式会社monobank 田仲 宏歴

対談|第2回/全3回 ファミールカンパニー株式会社 代表取締役 柳本 公則 × 株式会社monobank 田仲 宏歴

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第1回 につづき、静岡県静岡市で古着・洋服・ブランド宅配買取を行っているファミールカンパニーさんです。
ネット販売とBtoBの卸業から、BtoC向けの新規店舗をオープンし、事業拡大をされるとの事で取材させていただきました。中古ブランド品の販売から外国人技能実習生のサポート事業まで、幅広い事業内容を展開されている代表取締役の柳本 公則さんと、株式会社monobank 田仲 宏歴の対談をお届けします。
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第2回|柳本 公則が考える責任感を持たせる人材育成術(バイヤー・リーダー)


?人材育成・人材成長について
?バイヤー教育について
?リーダーとなるスタッフの選定について



?人材育成・人材成長について

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田仲:では先ほどスタッフについてのお話が出たんですけど、人材育成についてのこだわりってありますか?

柳本:人材育成ですか。最初の5~6年に関してはワンマンっていうか、もう自分の実力を信じて俺が全部買ってくるから全部さばいてくれ、みたいな感じでやってきたんですけど、やっぱり一人で抱え込める人数って15人から多くて20人くらいかなって考えたんですよね。何となく会社がバラバラっていうか、なかなか足並みが揃わない時期があって。

田仲:フットワークが軽いですもんね。(笑)

柳本:そう、だからほんと追いつかなくって。それからやっと部長っていう役職を置くようになったんですよね。で、今部長が二人と、店舗やアルバイト全部あわせて約40名くらいのスタッフが居るんですけど、今年のテーマが人材育成、人材成長っていうのをみんなの前で公言したんですよ。でも、ただ教えれば成長してくれる、とは僕はあんまり思ってないんですよね。

田仲:うんうん。

柳本:教えてやれるんだったら全部教えてやればいいじゃん、って思うかもしれないんですけど。参考によく他社のスタッフさんとか見させてもらってて、どのスタッフが急激に成長したかな、この人は5年経ってても大したことないな、っていうのとか。どんなスタッフが成長してるのかなって見てたら、ひとつだけ共通点があって。責任感があるスタッフが学歴の有無、頭の良い悪い問わず、すごく成長しているな、って思ったんですよ。

田仲:なるほど。確かに、与えられた仕事をこなす、こなさないというより、どう受け止めるかですね。

柳本:それを肌の感覚で感じて。だとしたら、学歴とかよりも責任感っていうところに特化して教育をしていけば成長していくんじゃないかっていう仮定が僕の中で生まれたんですよね。だから、責任感をどんどん付けさせられるように、人に任せていくような仕事をしていこうっていうのを決めましたね。一生懸命がんばってる姿を、最初はおもしろいなって思ってたんですけど、責任感とか、任されたからには僕はやってやりますよ!みたいな意思を感じたときに、「これだ!」って思って。

田仲:うんうん。

柳本:もう学歴とか雰囲気とか関係ないって。

田仲:そうなんですね。じゃあ例えば、責任感の有る、無しを見分けるポイントって何ですか?やっぱり実務の中で見ていくしかないですか?
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柳本:そうですね、僕の中で、見分けるのは難しいかもしれないですけど、見抜く力を付けさせる事は可能だと思っていますね。たとえば男性で、25歳までに大学は卒業したけど、その後2~3社くらい転職してきて、パッとファミールに出会って就職して、3年後役職者になったとしたら、それってすごい成長だと思うんですよね。

田仲:はい。

柳本:でも、そこには仕掛けを作っていかないと、それだけふわっとしたスタッフが立派に成長することってなかなかない事だと思っていて。僕が工夫しているのは、いかに上手く相手に「やる」と言わせられるか、ですね。

田仲:なるほど。相手に「やる」と言わせると。

柳本:はい、例えば僕がどこかに連絡するとしたら、スタッフに「これ〇〇に連絡しといてよ」「あー、わかりました」っていう情報伝達ってよくあると思うんですけど、僕の場合はそうではなくて、「〇〇さんがこういう商品を欲しがってるんだけど、こういう連絡伝えられる?」って。もしくは、「この商品欲しいって言ってるんだけど、俺集めるからこれやっといてよ」ではなくて、「これだけの商品を集められる?」って言うんですよ。

田仲:うんうん。

柳本:すると大抵の人は言うんですよ、「集められます」って。じゃあ、集められるんだったら、「いつまでに集められる?」って。すると「今月末までに集めますね」って返ってくるので、「分かった。じゃあやっといて」って。「どうしたいと思う?」って聞いたときに相手がいったん自分で考えて、「こうすれば出来ると思いますよ」って返ってくれば「じゃあそれやれる?」「頑張れます!」っていう。こっちからの提案に、そうだと思います、じゃあどうなの?できます!っていうやり方のほうが言葉に責任感を持っていくと思うんですよね。

田仲:なるほど。なんだかmonobankの吉田(社長)が言ってたKPIの堀下げに近いやり方に見えますね。

※KPI(Key Performance Indicator)は、「ケーピーアイ」と読み、日本語では「重要経営指標」 「重要業績指標」などと訳されるもの。アクセス解析では、目標値に対する状況を示す指標として扱われることが多い。

柳本:人って嘘をつくのに自分を隠したいとか、ちょっとでもよく見せたい、とかいう心理が働くと思うんですけど、それを良い方に捉えると自分の言葉には嘘をつきたくないっていう言葉のマジックが出てくるので。

田仲:なるほど。声を発する事で、責任感が伴うと。

柳本:やっぱり全員に共通しているのが、自分の欲しい言葉を相手から引き出せるようにどんどん誘導していかないと、なかなか学校で学んだ事だけをやって知識として蓄えても、立派なスタッフに成長したり、立派な人生を生きられるわけではないと思っているので。そういう事もぜんぶこっちから教えて、意識を変えていってあげるっていうのを僕は工夫してますね。

田仲:なるほど。コミュニケーションの取り方がすごいですね。社員さんとの距離は近いですか?

柳本:昔は遠くて。(笑)

田仲:ワンマンだったんですよね。(笑)

柳本:そう。もう、王みたいな感じだったんですけど。(笑)

田仲:あ、さっきの椅子みたいな感じですね。(笑)

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※ファミールカンパニー本社


柳本:そう。(笑)今は、距離が近くなってきたと思います。

田仲:僕らものばんくオークション側からみたファミールさんの印象なんですけど、仕入れ側と販売側の意思疎通がきちんと取れているなって思うんですよね。販売側のBtoCと、仕入れのBtoBで買ってくる人間って全然モノの筋が違うし、そこでの連携が取り辛い事も多いと思うんです。

柳本:うんうん。

田仲:例えばネット販売とバイヤーさんは違う担当者ですよね。

柳本:そうですね。

田仲:じゃあネットで売れ筋の商品のフィードバックはどうやってバイヤーに届いているんですか?バイヤーさんが自分で勉強しているんですか?

柳本:そう、それはもちろん販売スタッフの中にも意識が高い人は「こういうのが売れていくよね、最近売り上げ良いよね」っていうアウトプットをしてくれているんですけど、それが大体20%くらいで、残りの80%に関してはバイヤーが自ら自分で買ったものは自分で後追いしましょうっていうシステムを組んでるんですよ。

田仲:なるほど。

柳本:後追いした結果をちゃんと見て、それを反省してこれが売れてるんだとしたらこういう資料を流していこう、例えばシャネルの新作でヴィンテージでこの形があったらそれをちゃんとバイヤー共有LINEで入れて、それが上がるかもしれないっていう情報を見てから仕入れに行きましょう、って。

田仲:うんうん。写真でですか?

柳本:はい、ネットのスクリーンショットとかをどんどん残していって、僕たちはやっていますね。情報弱者にならないように。

田仲:情報は本当に大事です。


?バイヤー教育について

田仲:では、バイヤー教育はどうしていますか?

柳本:バイヤー教育は一番難しいですよね。これは僕なりの教え方なんですけど、マニュアル染みた事も教えはするんですけど、下見するにしても市場に行くにしても、スタートの時点でその日の目標を絶対決めてもらうんです。で、その日の途中でどう?って聞いてアウトプットしてもらってから、最後にその反省を聞いてるんです。

田仲:なるほど。途中でアウトプットさせる事で反省に持っていきやすくなりますね。

柳本:で、それを一応の起承転結をつけてやるんです。テーマを決めます。例えば月に10日市場に行くとしたら、多分ほとんどのバイヤーが10回の出張をこなしているだけだと思うんですよね。

田仲:うんうん。

柳本:10日の市場の中に毎日テーマを決めて、それをきちんと一から十までやるとして、それを12ヵ月で120日市場やれば、どれだけの経験を積む事ができるか。逆に、ただ単にとりあえず行けと言われたから行きました、欲しいものがあったから適当に声を出しました、買えました、買えませんでした、なんてことを結果を求めてやってても、その時一喜一憂するだけで、何の目的にも沿ってない事なので、バイヤーとしての成長ってなかなかできないと思うんですよ。

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田仲:うんうん。

柳本:でも、目的に沿って仮定の部分をしっかり設定してあげる事によって、そのバイヤーが今日は何をしたいのか、ヴィトンのアルマの相場を覚えたいのか、スピーディなのか、モノグラムなのか。今日はヴィトンは捨てて、その他のバッグはいくらの値段が付くかに集中するのか、とか。この前の下見ではヴィトンっていうテーマを決めたんですけど、僕の下見表には“47”(47,000円)って書いてて、君は何て書いたの?って聞いたら“43”(43,000円)でしたって言ってたので、おー、俺より4千下じゃん、みたいなのをテーマに沿ってやって。なんでそう値段を踏んだかっていう理由をちゃんと聞いて。

田仲:なるほど。ちゃんと設計というより、段取りですね。

柳本:これはこういう理由があって、これくらいだから47にしてるんだよ、でも実際買うときには43くらいしか言わないと思うけどね、っていうのを時間がある時は1点1点やっていますね。

田仲:そうなんですね。数字だけでは見えない背景説明も必要ですね。

柳本:あとはまあ、とことん褒める事。小さな事でも出来たら僕は褒めるようにしてます。しかも、ただ「すごいじゃん、覚えてきたね」っていう褒め方じゃなくて、「こうやって自分でアウトプットしたんですけど、こういう事が悔しいです」って言ってたとしたら、「その悔しさをこうやって僕に伝えてくれて。きちんと反省点に気付いて振り返ってるからどんどん力が付いてきてるのが伝わるわ」みたいな感じで褒める。まあ変な話、女性にモテるために褒めるような。(笑)だから僕褒め方の本とか買いましたからね。(笑)

田仲:ははは。(笑)では、社員同士の連絡や共有はどうしていますか?たとえば朝礼とかミーティングをするとか。

柳本:朝礼、終礼は毎日やります。あとは全体ミーティングとバイヤーミーティングを月に1回。店舗のミーティングは各項目があればすぐ集まってやってますね。



?リーダーとなるスタッフの選定について

田仲:では、各部署にリーダーがいると思うんですけど、リーダーのポジションはどういった人に任せたいですか?

柳本:うーん、僕理論でいうと、「出来る人」って基本的には居ないと思っていて。
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田仲:なんだか興味深いですね。

柳本:でも、任せられるからこそそれをこなしていけるようになるんだと思うんですよね。例えばそれが部長なら周りからも部長って思ってもらえるような人物になっていくっていうのが僕の中ではあるんですよ。

田仲:なるほど。期待に応えて、役職名に負けないようになるって事ですね。

柳本:そう、なので最初から“この人って部長の能力あるよな、だから君部長にするわ”っていうのは無くて。僕の社長業もそうだと思うんですけど、ゼロから始めた1年目の社長と、既に30年やってる社長とではもう全然レベルが違いすぎるので戦えない。でも年数を重ねるごとに1年目の僕と9年目の今の僕とを比べると、明らかに成長してるって思っている。部長、店長、主任とかも、君に期待してるから主任っていう役職を与えるね、だからそれに見合うような活躍とか提案をしてきてくれよっていうようにする。そうすると勝手に自分の中でやらなければいけないとか責任感が生まれてくると思うので、そういう任命の仕方をします。だから期待している人にその役職を任せていきますね。

田仲:なるほど。

柳本:店舗なんかもそうで、一言で言うとあんな店舗、やれるわけないって思ってるんですよ。(笑)

田仲:えー!(笑)

柳本:それはもう最初から言っていて。だって10坪のお店も持ったことがない、ネットとか卸オンリーのファミールが、全面積が250坪、売り場面積210坪あるお店をやれるわけないじゃんって。じゃあやれる人材をどうやって探すの?250坪の店舗のエリアマネージャーに見合う人材、例えばユニクロのワンフロア管理してたとか、デパートのフロアマネージャーとか…
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※ファミールカンパニー新店舗の外観

田仲:まあまあな人材が必要ですものね!

柳本:そう、たぶん探してもなかなかいないと思うんですよ。そんな人を集めようと思っても集められるわけない、じゃあオープンしないのか?それは違うよねって。

田仲:うんうん。

柳本:だからまずは出来るわけないってところからやってみて、やっていってトライ&エラーを繰り返して初めて出来るようになるのが仕事でしょ、って思ってるので。

田仲:うんうん。

柳本:出来なくてもいい、でも出来るようにしていくプロセスをちゃんと自分たちで踏んでいけば、結果それが出来るようなマネージャーになっていくって思っているので、「失敗しても全然いいよ、ダメでもいいよ。」って。

田仲:なるほど。安心して伸び伸びやらせてあげる事で、チャレンジしやすくなりますね。

次回に続く≫
















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