「フィルムカメラの復権」
?斉田 悌征
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カメラ業界で起こっているもう一つの動きとして、フィルムカメラの見直しがあります。
カメラ業界では1990年代後半から急激にデジタル化が進み、2010年を迎えるときにはレンズ交換式も含め、ほとんどがデジタルカメラとなりました。
30代以上の方には信じられない事かもしれませんが、世代によっては実物のフィルムを見た事がない、使った事がない、そして最近は「カメラ」で写真を撮ったことがない、という方も現れてきています。
デジタルだからくっきりシャープに写るのが当たり前。そんな時代になったからこそ、フィルムの写りが新鮮だという声が出てきたのです。
※コンタックスT3
まずは高級コンパクトカメラのコンタックスTシリーズから火が付きました。
コンタックスT3(2001年発売)は、メーカー希望小売価格が約10万円前後(色、装備によって差がある)でしたが、中古小売価格は4万円というところまで落ち込んでいました。
ところが2020年1月現在では、プレミアムな15~20万円超という価格が付けられています。
T3の価格が上がるにつれて、前のモデルT2(1990年発売)も値を上げています。
※コンタックスT2
その値上がりはコンタックスだけでなくニコンや富士といった他メーカーの高級コンパクトカメラにも広がり、このブームが始まる前には1~2万円前後に値落ちしていたカメラも3~4倍に値上がりし、当時の新品価格程度にまでなっています。
さらには数年前は捨て値でも買い手のつかなかったコンパクトカメラ、80年代の一眼レフ、さらに古い時代の普及カメラでさえも見直され、取引されるようになっています。
さて、このブームはいつまで続くのでしょうか。
コンタックスを作っていた京セラは2005年にカメラ事業を撤退しているため、コンタックス製品は最低でも15年が経過しているということです。
時間経過に伴い不具合も多く発生してきます。前述のコンタックスT2も、たしかに高値は付けていますが発売から約30年を経て、すでに液晶や巻き上げ不良、レンズクモリなど不具合が多発しています。
京セラではすでに修理の取り扱いをしていません。(※コンタックス製品の修理引き受け会社はあります。)
また他のメーカーも同様で、フィルムカメラのほとんどは製造から長期間経過し、交換部品が無いため修理不能となっています。
専用部品がなくなり修理ができなくなったモデルは「壊れたら終わり」となり、次第に値を下げていくでしょう。
しかしながら1970年代までのカメラは比較的部品に頼らず修理が可能です。
今後は修理のできるカメラ、できないカメラと時間が経つにつれて明暗が分かれていき、人気機種が移り変わりつつブームは続いていくと考えています。
この修理ができるかどうか、故障しているかどうか、また部品取りとしての価値はあるか、ここが大きな目利きのポイントとなってきます。
一般のコンパクトカメラでも写真が撮れるからこその人気です。
買取・販売に際しては動作チェックをしっかりして思わぬ損をなくしていきましょう。
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