全3回の連載も、最終回を迎えました。
静岡県静岡市で古着・洋服・ブランド宅配買取を行っているファミールカンパニーさんです。ネット販売とBtoBの卸業から、BtoC向けの新規店舗をオープンし、事業拡大をされるとの事で取材させていただきました。
中古ブランド品の販売から外国人技能実習生のサポート事業まで、幅広い事業内容を展開されている代表取締役の柳本 公則さんと、株式会社monobank 田仲 宏歴の対談をお届けします。
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第3回|新店舗の紹介「静岡に狼煙が上がる」
?ファミールカンパニーの名前の由来
?新店舗について
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?ファミールカンパニーの名前の由来
田仲:「ファミール」の名前の意味は「狼煙(のろし)をあげる」で合ってますか?
柳本:はい、そうです。よくわかりましたね!
田仲:これは何語ですか?
柳本:フランス語ですね。
田仲:忘年会でファミールさんの従業員さんとお話をしていて、「ファミリー」という意味かと聞いたら、それ違いますよって言われて覚えてたんです。その時にフランス語と聞いたような気がしてて。
柳本:そうなんですね。「fum?e:フェミー」っていうのが煙、という意味なんですね。で、「Loup:ラウ」っていうのが狼。「狼煙:のろし」=狼と煙。「フェミー+ラウ」カンパニー。で、「ファミールカンパニー」になりました。
田仲:なるほど!造語だったんですね!
柳本:で、9年前に立ち上げたときに、まだまだブランド業界として全然ひよっこで。でもこれから今ある業者とかこれから生まれてくる業者にも負けないぞ!背水の陣で狼煙をあげて戦うぞ!っていう気持ちを込めて「ファミール」っていう造語をつくって。
田仲:なるほど。フランス語なのかなって聞いた気がして、検索しても出てこなかったので、謎が解けました。
柳本:あとは、市場で呼ばれるときに呼ばれやすいフレーズってあるじゃないですか。
田仲:うんうん。コールするときにですね。
柳本:はい。その時に呼ばれたい名前にしたいなって。
田仲:なるほど。そこまで意識されたのは、市場を見てきたからですね。
柳本:はい。競りが盛り上がっている時とか、大事ですよね。
田仲:遊び心はすごくあるけど、細かいところまでよく考えられてますよね。
柳本:そうですね。(笑)性格は大雑把なんですけど、仕掛けの部分をしっかり考えて、先をしっかり考えてやらないと。やってることに意味がないといけませんよって事ですよね。
田仲:動機とか行動力とかはすごく大胆に思えますが。
柳本:でもそれは、ゴールをしっかり決めた中でのものです。さっき吉田社長が言われてたアルファベットの…何でしたっけ?(笑)
田仲:KPIですね!(笑)
柳本:そう、KPI!過程の部分ですね、僕も先にゴールの部分を話しちゃう。でも、ゴールまでの理由や過程はこうですよ、って。
田仲:まさに先ほどの人材育成のお話も、そうですよね。やると言わせるプロセスはKPIとKGIの繰り返しですからね。
柳本:そうですね。だからもう先に、俺はこういう事をやります。その内容は…っていうような話で。こういう事をやったらいいと思うんだよね、っていう話からの、結果こういう事やりたくない?みたいな感じだと、なんかフワッとなっちゃうんですよね。
田仲:うんうん。
柳本:俺店舗やりたいぜ!やるためにはこういう事が必要だぜ!OK?っていうのが僕のやり方なんで。
田仲:なるほど。
?新店舗について
※新店舗の外観
田仲:では、新店舗をオープンするにあたって、問題とかスタッフの反応とか、またスタッフの配置などはどうやって決められましたか?
柳本:うちの場合は、仕掛けって言えば仕掛けなんですけど、もし何かをやるときには、やる前にスタッフにこういうことをやりたいっていう相談をしているんですよ。その中で、やりたいって思ってくれるスタッフを集めて、それを相手にもやりたいって伝えてもらって配置してますね。
田仲:なるほど。
柳本:いかにやりたいって思わせる事業内容を示せるかが社長の仕事なのかなって。
田仲:なるほど。
柳本:うちが店舗やるのも、やっぱりスタッフにも面白みがあって、夢を与えられる仕事だと思っているので。それを考えると、店舗はやっぱりみんなが魅力的に思ってくれているのかなって。でもその分辛いことはいっぱいあるとは思うんですけど。
田仲:あるでしょうね。でも「やりたいです!」っていうスタンスのスタッフさんが多いという事ですね。
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柳本:そうですね。でも僕、良い勘違いをしたんですよ。あそこを通った時にテナント募集中って書いてあって。ここのテナントって、誰が入るのかな?って考えたんですよね。ユニクロの跡地だからH&Mが入るのかな、GAPが入るのかな、ドラッグストアもいけそうだな、とか。コンビニには大きすぎるじゃんね、とか。
田仲:うんうん。
柳本:じゃあ雑貨屋さんは?百均は?とかって考えた時に、なんかつまんねえ商売ばっかりだな、って思ったんですよ。
田仲:おー。なるほど。
※新店舗向かいに位置するテナント
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柳本:ここって静岡の国道1号線沿いで、向かい側にはユニクロ、ヤマダ電機、コジマ電気があって、これだけの広さで、ワンフロアでテナント募集してんだよ、「静岡のやつ、誰かやれよ!」って思ったんですよ。(笑)静岡を盛り上げるというか。あのコクイチ(国道1号線:静岡の代表とする大通り)の超一等地にH&M入ってどうすんだよ、って。そう思った時に、じゃあ静岡の事が好きで、静岡に住んでて、静岡に地場があって、店舗をやれる資金力と、あと勝負する商品を持ってる人は…?俺か!ってなって。(笑)
田仲:なるほど!(笑)
柳本:そう。俺がやるのか!って。(笑)
田仲:それまでは店舗を出すっていう構想は全くなかったんですか?
柳本:店舗を出すのは考えてたんですよ。静岡にスクランブル交差点っていうメインの通りがあるんですけど。静岡のスクランブルね、って言ったらそこを想像するような場所で。新宿の銀蔵さんとかドン・キホーテとかあるようなところの何百分の一くらいの規模ですけど。(笑)
田仲:新宿にありますね。
柳本:そこが2店舗分空いてたんですよね。で、静岡って家賃が結構高いって言われてて、町の組合の中で家賃を下げないっていう噂が根付いてて。全然安くならなくて、ほんと半年とか一年くらい空いてるのに家賃135万円のテナントとかあって。そこに話を聞きに行って、「安くしてよ、安くしてくれるなら入るよ」って言ったけどダメだったんですよ。
田仲:中々、厳しいですね…。半年から一年空くならもったいないような気がしますが。
柳本:静岡を盛り上げたいって考えてるのに、その人達は静岡の玄関口であるスクランブルを、テナント募集中で一年間も空けてるってどうなの?って思って。なんか僕はそんなメンタルの人と一緒にビジネスは出来ないと思って。(笑)別に家賃出せないわけではないんですけど、断ったんですよね。
田仲:うんうん。
柳本:で、今回の話があったので。
田仲:静岡好きなんですね。
柳本:そう、東京住めばいいじゃんって言われるんですけど、やっぱり静岡の方が住みやすいし、安心するし、友達も多いし。でも悲しいことにどんどん人口が減っていて、今60万人。ちょっと前までは70万人って言われていたんですけど。年々減っていて今60万人にまでなってしまって。
田仲:静岡市で、ですよね。清水区でいうと?
柳本:多分15~20万人ですね。
田仲:そうなんですね。清水区で下関市と同じくらいの規模ですね。車移動が多いですか?
柳本:そうですね。車持ってないと男は、「ああ、あの男無いわ。」ってなりますね。(笑)
田仲:ははは。(笑)では店舗も駐車場は必須ですね。
柳本:そうですね。70台くらいは入れますね。
田仲:家賃もお高いのでは?
柳本:まあ、高いけど、広さからいうと好条件ですかね。そこに、たとえば百均みたいな一個売ってなんぼみたいな商売だと費用対効果がとれないと思うんですけど、一個売って最低でも千円くらい利益が出る商売じゃないですか。まあ10%くらいだとして。
田仲:僕たちここに来る時に通りを見て「下関市によく似ているね」って言ってたんですけど、マクドナルドとかの大手チェーン店のありがちな外観の建物が多くて、静岡らしい写真がなかなか撮れなくて。そう考えると、やっぱり静岡のこの土地に静岡らしい建物があったらいいなっていう気持ちがすごく分かります。
柳本:なのでほんとコクイチ乗っ取るくらいのつもりです。(笑)だから過度に広告とかも出してて、おかしな店を演出しているんですよ。(笑)
田仲:あ!新店舗の外観に文字がいっぱい書いてありましたよね!「ファミール半端ないって!」とか。(笑)
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※店舗の壁面看板
柳本:そうです、見ました?(笑)あれだけ尖らないと。僕、良くも悪くも、最初お店の名前を「ファミクロ」にしようとしたんですよ。
田仲:ファミール+ユニクロですね?(笑)
柳本:そうです、ユニクロの跡地を使いながら、向かいではユニクロを相手にしながら、です。(笑)
田仲:なるほど。(笑)
柳本:でもそれは不動産屋さんからコンプライアンス的にNGが出て、やめたんですけど。(笑)
田仲:そりゃ、そうですよね。見てみたい気もしますが。(笑)
柳本:やっぱ、それくらい面白いようなことをやらないと。
田仲:では、店舗の外観の文字は柳本さんのアイデアなんですか?
柳本:そうです。最初は、赤白にしようぜ、って。向かいが赤白の建物(ユニクロ)があるじゃん、だからウチらも赤白で戦おうぜ、って。
田仲:とにかく目立つように、ですか?
柳本:そうですね。あとは、何屋がやってるのかよくわからない造りにしたかったんですよ。
田仲:なるほど。
柳本:オープンまでは。何が出来るんだろうって注目されるようにですね。いちばん最初の広告が、店舗の表側にQRコードをバンって貼って、お客様がそれを読み取って自分で調べるっていう。それでInstagramで告知したんですけど。第一弾は「#世界最大級の店が静岡に!」っていう、告知内容がそれだけだったんですよ。
※店内の商品
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※店舗の内観(オープン前のため改装中)
※(左上)店内のショーケース、(左下)VIPルーム、(右)買取カウンター
田仲:何の店?ってなるように話題作りになるという作戦ですね。
柳本:そうですね。お客様が店舗を見た時に、「何のお店かよくわかんないな、じゃああそこのQRコード読み取ってみよう」って仕向けるような入り口にして。で、第二弾は「#商品数6000点」「#この店の商品総額は?」と打ち出して興味を持ってもらえるようにしたり、「百万円の商品プレゼント!」企画をやってみたり。お客様に「商品数6000点?何屋なの、そもそも?でもQRコードを読み取ると、ブランド屋さんぽいな、ってことは?」という、興味を持ってもらう為の作戦ですね。
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※店内高額商品用ショーケース(改装中)
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※店内の商品陳列棚
田仲:なるほど。これは柳本さんのアイデアですか?
柳本:そうです。(笑)
田仲:楽しんでますね!(笑)それに対してのスタッフさんの反応はどうですか?
柳本:結構おもしろいって言ってくれるので、そうだろ、って。(笑)
田仲:ははは。(笑)
柳本:あとは買取革命、買物革命、って表におっきい看板があるんですけど、あそこに「。」って書いてあるんですけど、うちのスタッフが「。」があると締めになるから付けたいって言ったんです。確かに「。」で締めるのはいいね、その丸に細かく文字を入れればいいじゃんって言って。で、あの丸、よく見ると「満足できたら友達に紹介してください」って作りこんであるんですよ。(笑)
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※店舗正面、国道沿いの看板。裏面は「買取革命。」と書かれています。
田仲:へー!(笑)
柳本:だから僕は人がやらないこととか、面白いことをやりたい。で、スタッフも楽しめる。だからたまにアンケート調査っていう形でスタッフ全員にのぼりのデザインとか言葉とかを募集しているんです。新店舗の外観に書いてあった言葉も、スタッフから募集したものなんですよ。
田仲:そうだったんですね!
柳本:最優秀賞とか佳作とか作って賞金を出してあげて。だから今後もみんなで楽しめる企画は続けていきたいなって思ってますね。
田仲:なるほどですね。スタッフ思い出遊び心もいっぱいの柳本さんでした。本日はどうもありがとうございました。
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