吉田:今日は取材を受けて頂いてありがとうございます。それではよろしくお願いします。
元々中古ブランドの仕事を始められたきっかけというのはどういう感じだったんですか?
創業したのは会長で、僕の父にあたるんですけど。始めたのが7年前くらいですね。
元々中古車業界で、そこから職種が似ているという事でこちらに切り替わって。 最初、会長の方で「こういう事業計画ね。」ということで僕と山本(JFAのトップバイヤー)が任され、そこから会長に言われた事業計画に沿ってやっていって。
1つ目標を達成したので、そこからの事業計画は僕らで練ってやっていって、今に至るっていう感じです。それが始めて2年くらいの話です。
当初の目標というのは、どういうものでしたか?
国内の市場で店舗を持たずにネットのみで。この売り上げでこの利益率で、やりましょうっていう所ですね。
そこまではすぐ出来て、そこからの展開は自分達で考えなさいという事で。
そこから海外に目を向けてやってみたりだとか、 ビンテージに特化してやってみたりだとかっていう。結構内容は転々としているんですけど、ただネットを中心にという所は崩さずにやってきたっていう経緯ですね。
今の事業内容としては、一般のエンドユーザーからモノを買い取るという事ではなくオークションでモノを仕入れて、 それをインターネットで、国内もしくは海外に販売をしていくというのが大まかなビジネスモデルという形ですか?
そうですね。
じゃあ店舗を出して買取りを展開していこうとかそういうとこは?
そこはもう計画にはなかったので、あくまでネットに特化して。そこだけは崩さないようにやらせてもらっています。
率直な疑問なんですが、会長さんが始めようってなって、板倉社長と山本さん2人で買い付けを始めた頃って、当然、 これがいくらで売れるとか、これが市場でいくらで落札されるなんていう、僕らの業界で言ういわゆる相場感みたいなものは無かったんじゃないかと思うんですが?
一切無かったですね。
僕がまだ2年間やっている時も、ホント何もわからずにいろんなものをとにかく買って、ネットに載せて。
とりあえず量買って在庫を貯めて。 そこから何%か売れていくっていう。とりあえず在庫を常に貯めていくやり方で、ある程度の規模まで成長したという経緯があって。
そこからは貯めた在庫を使って、どう上手く売り上げを作っていくかっていう。
最初のスタートダッシュが結構良くて、当時いろいろ買っていたので、その時に相場を覚えたっていう感じです。
やってみて、売りながらってことですね。
そうですね。
損して売るなんてこともあったんじゃないですか?
最初の方針は在庫にしていく事だったので、ある程度持っても、損切ってまでは売らないって方針もあったので。
とりあえず抱えられるだけ抱えようと言う事ですか?
そうですね。それが今になって結局、市場でも数字が変わったりするじゃないですか?
2年持ったら値段が上がるとか。
そうですね。あります。
それをその時に覚えられたっていうのがありますね。在庫にしていれば損することがないじゃないですか?
車とかみたいに2年経ったらゼロになっちゃうとか、 そういった事もないので。在庫を持つ最初の体力があったというのも大きかったですし、それは元々会長の資金力だったりというのもあったんですけど。
そこでもう短期間でいろんな事を覚えられました。
特に当時から今までに至る過程って、ブランドバッグは相場がずっと上がり続けていますもんね。
買えば買うほどというようなことですかね?
まあ、株みたいなものですよね。
当初、苦労されたこととかありますか?
多分、始めた時期が良かったかもしれないですけど、国内も思ったより売れたり早い段階で捌けたりしていたので。
国内の市場がきつくなってきたのが3、4年くらい前ですかね?その時に1回どうしようかとなって、そこから山本と話し合って海外に 目を向けようかってことで。
ただ、ネットに特化しているってとこもあったので、e-bayってサイトを使いながら、そこからまた急成長してっていう形で。 分岐点っていったらそこですかね。
市場で買うとなると当然業者さんと競り合って買わないといけないわけじゃないですか。 でも、一般のユーザーから買い取れるということは、当然市場より安い値段で買い取れます。けれど、利益率を上げていくという意味で 一般のお客さんからの買取りは、今の時点でまだ考えられていないという感じですか?
そうですね。ネットでやるって言ったその根源は経費性の問題で、店舗を出すとなると初期投資もかかりますし。その経費だと思って市場で買っているといった感じです。
本来であればかかる広告宣伝費であるとか、人件費であったりとかする部分が、結局在庫に上乗せされると考えると、市場で買う方が実は安いという事になるかもしれませんね。
そうですね。今、全国ほぼ全ての市場に山本を行かせているんですけど。山本1人に専任してやってもらっているので、相場も全て熟知していると思いますし。
仕入れに関しては全て山本に任せて、彼もちょっとその部分は重たいとは思うんですが。彼の事を信用しているので。
1人で仕入れをされているんですか?
山本に全部やってもらっています。
ちなみに今在庫点数ってどれくらいあるんですか?
今はだいぶ減ったんですけど、結構在庫数はあります。
すごいなぁ…
いろんなものがあったので。今はもう低単価の物は市場で売り捌いたりとか。
少し高額なものに、ということですか?
そうですね。そこの在庫の切り替えは3年くらい。海外に目を向けてから徐々に始めています。
要するにYAHOOや楽天で売れていくものと、e-bayで売れていくものって当然違ってくるので、ということですね。今、e-bayの売り上げ比率はどのくらいですか?
8割ですね。
8割ですか!じゃあそのトレンドというか、売れてくものをデータ化して、それに応じて山本さんが仕入れをしていくといった感じですか?
そうですね。2人で話し合って新しい相場を作ったりとか、仕入れの方で操作できるじゃないですか、ある程度は。
今まで弊社が市場の数字を動かしてきた部分があると思うんです。特にシャネルに関しては。
要するにまだここで売れるかわからないんだけど、これちょっと手がけてみようといった感じですかね?
そうですね。シャネルをメインに買っていこうだとか。その時は相場から外れた数字で買うんで、色々言われるんですけど、2年経ってみると…
それが相場になっているという?
今はそれ以上の相場になっちゃっているんで、現状は。
今後の会社の展開としては、どのようなことを考えられていますか?
やっぱりその時代時代で合わせていくしかないと思うんですよ。
ただこのネタが切れることはないと思うんです。ずっとLVから(新製品が)出るのと一緒で。どこかで動く。
国内の需要が高まれば国内で動かせばいいし、それより海外の需要があれば海外に出せばいいと思うし、なので単純に、需要がある所で時代に沿ってやっていけばいいのかなって。
そうですね。ほんとその通り。
それだけだと思うんです。
ただ、僕は質屋なので質業務に携わっている時というのは、モノに対するこだわりというか、例えば大きいダイヤの指輪を買い取ったということに対する喜びであったりとか、 それを査定することに対するある種「古物道」というかそういうこだわりであったりとか。それがじゃあ市場でいくらで売れたんだということが無常の喜びというか。 そういうようなところがあると思うんです。要するにモノにこだわる、ということですね。そういう意識っていうのはあまりないですか?
いや、そんなことはないですね。
ビンデージに特化したのも、需要があるっていうのもそうだし、これがいくらっていう数字だけで見ずに価値をつけていきたいだとか、そういった気持ちはありますね。
そうなんですね。誤解があって申し訳ないんですけど、なんとなくイメージとして、例えば月に1,000個買って、 その1,000個のものを何であれ800個売ればいいんだというような考え方で、ぐるぐる回しているというわけではないんですか?
そういうジャンルもあります。例えばLVであれば、もちろんそのジャンルに入ると思うんですね。ただ、シャネルは違いますよだとか、 エルメスは違いますよとか。種別、モノの動きで、回し方は考えています。
例えばエルメスのこのバーキンは珍しいんで、寝かしてでもしっかりした値段で売っていこうだとか?
そうですね。
社長の考え方としては、今後もインターネットに特化して、その時売れるものを追求していきながらそれを買い付けして、もしくはトレンドをつくっていくような形で市場でモノを買っていくと。
そうですね。
僕も市場をやっていますが、全国いろんな所に市場が増えてきているでしょ?
で、なんとなく、僕はバッグに関していうと今がピーク越えたのかなってちょっと思うんですけど。 これから国内での供給量って少し減ってくるんじゃないかと思うんですよね。
そうですね。減っていますよね。
明らかに減っていますよね。そういう状況になってきたときに、これから時計の方もやってみようとか、ジュエリーの方もやってみようとか、そういう考えはありますか?
それはちょっと考えています。ただ、会社のバランスを崩さないといけないんで、慎重にやろうかなと思っていますけど。
?
この続きを読むには
この続きは有料会員に登録すると読むことができます。
続きを見る