対談|株式会社めだか  ×  代表取締役社長 嶋田 健治 × 株式会社monobank 代表取締役 吉田 悟

対談|株式会社めだか × 代表取締役社長 嶋田 健治 × 株式会社monobank 代表取締役 吉田 悟

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吉田:今日はよろしくお願いします。


嶋田:でも何で僕に話を聞きにきたん?


「いちばから」では最近、地方の人に話を聞いて回っているんです。

15、6年前にみんな一気にブランドショップに走ったじゃないですか?それじゃあ段々通用しなくなって、今度は海外。それもそんな長くは続かないと思うんです。

だから地方で何とか生き残っているお店の方が、学ぶべきポイントが実はあるんじゃないかなと思っているんです。

僕らみたいに田舎で商売している人間があれやこれやと情報入れて、色んな事をトライしていく姿を皆さんにお伝えしなきゃダメでしょ。生き残っているわけですから。

でも厳しいですね、今の時代。


僕は悟くんとこんな話していたらおかしくなる!あはははは!

酒飲みながらならいいけど。(笑)


やっぱ真面目な話は真面目にしないといけないでしょ?(笑)

まずは創業の話から教えて下さい。今は何年目なんですか?


31年目ですよ。


31年目の前は何をしていたんです?


色々変わっているからね。


サラリーマン時代とかはないんですか?


サラリーマンもある。

でも僕の事は言いたくない!(笑)あはははは!


言いたくないじゃないですよ!(笑)

リサイクルショップを始めようとしたきっかけってなんですか?


最初は女房の副業をと思って始めたんよ。

32、33歳くらいで、お金が無いから銀行にお金を借りに行って。でも貸してくれなかった。だから自分で貯めた200万円で始めたんよ。


その200万円で始めるじゃないですか?200万円分物を買うでしょ?

それを店頭に置いてそれが売れていったんですか?


お客様から買った今までの物、それを店頭に出すと1日で売れていった。


全部?


店頭に出した時、全部売れた!

次は物が無いからお店を閉める。そして買取りして集めていった。そしてまた出すとまた全部売れる。だから女房がお父さん何とかしてと。それで僕がその当時の仕事を辞めたんです。それで大阪へ仕入れに行ったり、色んな所で買取りをして集めていった。


僕らの世代ではそれが理解出来ないんですが、その200万円が増えていくじゃないですか?

次は300万、400万円、500万円ってなっていく。その感覚って今の時代、もう味わえないと思うんですよ。


そうじゃろうねぇ。


僕らの世代はもう始まっているから。お客様も売り上げもある所からのスタート。

だからそれは面白かったでしょうね。


そう。どれだけ買っても商品が足りなかった。


なるほどね。


それでも儲け方を知らなかったんよね。だから儲かるけど利幅が少なかった。

物が無い状態だから大阪に買いに行くしかなかった。一般のお客様からも買取りして。教えてくれる人もいない、何も知らないまま5年間やったね。


その時は個人で、法人化したのはどれくらいですか?


それから15年くらい経ってから。


31年前に始めて5年間物が売れて、そこからブランド品や宝石、時計に入っていったのはどれくらいなんですか?


その前に儲かると思って骨董を始めたんよ。その当時色んな物が入った。古い物が沢山入って良く売れた。でも骨董屋出したけど自分に合わなかったから2年で辞めたんよ。


骨董屋が??


骨董屋が。


本当っすか?!(笑)


本当に!あはははははは!!


とんぼ堂ってリサイクルショップをやりながら別の店をやったって事ですよね?


そう。別に骨董屋さんをやった。


そこから僕らが出会ったのは17、18年前だから、そこくらいからブランド品を始めた感じですか?


そこから金券ショップを始めた。その時に道具市も始めたね。それで金券を置くついでに宝石を並べたくなったんよ。宝石とかブランド、そしたらまた売れるのよ。

そしたらまた商品が無くなるから仕入れないといけない。それでまたブランドのオークションを始めたんよね。


すごい!!


そしたら今度はお客様が「買ってくれ」って指輪を持って来る。そこで買っていたら狭くなって、ここの隣に金券とブランドの買取りの販売店を始めたんよ。


その時に質の許可も取ったんですか?


そう。でもそれが難しくて、質屋はやっていたけど娘が嫌がってね。


質屋をやって欲しくないと?

今じゃあスッカリ質屋の番頭になっていますけどね!(笑)


あはははは!そう。(笑)

なるほどね。でも良い時代ですよね。僕らはそれを味わえないですもん。

インターネット販売を始めたのは最近ですか?


10年位前かな?僕ら田舎で商売をしていたら、お店ではそんなに売れないじゃないですか。

人口の少ない所で商売しているから。あれやこれやをしないと飯が食えなくなってきたんですよね。

あの当時、僕は催事で売り方の勉強をさせてもらった。それまでは田舎のお店で売るだけで、何も知らなかった。他のお店は2千万~3千万売れていた。

うちは1回目は200万~300万。それで凄く勉強になった。今でも感謝している。

それで次には1千万、次はやっと2千万売れ出した感じ。だから僕が本当に勉強したのは催事周りした時。これで飯が食えるとわかった。


高く売れる売り方がわかったって事ですよね。


それまでは真似事みたいな事をしていたけど、あれから本当に軌道に乗ってきたね。


リサイクルはどうなんですか?


まぁまぁですよ。


まぁまぁですか。その店舗自体で黒字になる感じ?


そんなに儲けは出ない感じですよ。その当時は儲かったけど物が安くなったからね。


今はリサイクルってよりはブランド品や宝石、時計の質屋に近い業態が中心ですか?


そうですね。


この30年の移り変わりの中で、リサイクルに留まり続ける人っているじゃないですか?

どうなんですかね?苦しいですかね?


昔のように儲からなくなったからね。大型店舗にしていかないと今からは難しいと思う。

リサイクルの中で今は格差が出てきている。良くやるお店は良くなっているし、やらないお店は段々・・・ってね。


どれ位の坪数がいるんですか?売り場面積が100坪はいる感じ?


今だったら500坪位はいるね。


それ位ないとお客様は来ないですか?


うん。来ないと思う。


今、コンビニ位の広さのリサイクルショップが多いじゃないですか?そんな所はじゃあ厳しいんでしょうね。


厳しいかもしれないね。うちは全部で500坪。

売り場面積は300坪位しかないけど、やっぱりそれでも厳しい。


今の売れ筋はなんですか?


岩国はね、アメリカ人が多いから普通のリサイクル屋と売れる物が違う。

あまり話したくはないけど・・・日本的な物が売れる。日本人があまり買わない物がね。

それをお土産に買ったり、部屋に飾ったりして日本を楽しんでいるね。だからうちのお客様の3割はアメリカ人。


買取りは持って来るんですか?


買取りは殆どない。買いに来るだけ。


31年商売してきて、今みたいに目まぐるしく2、3ヵ月おきに色んな事が変わっていくみたいな、そんな時代ってあったんですか?


あーー。5年周期位で変わってくるね。本当に。

今はまだ早いかもしれないけど、僕らの時代は5年周期くらいで売れる物が変わってきたね。


なるほどね。それが今、1年とか半年周期に変わってきたんでしょうね。そういう事って今まで無かったんですか?


昔の事を言うと、僕は扇風機をトラック1台分大阪から買って来た。

今、扇風機は千円から2千円である。だからそれと一緒で、いかに物を切り替えていくかって事。冷蔵庫やタンスを売っていたんじゃ今は大変な事になる。

冷蔵庫を5千円で買取りして持って帰って、綺麗にしてお店に出しても7,800円位ですからね。

それを何十台も置こうとしたら相当な広さがいるけど、うちのお店の規模だと1台2台しか置けないですもんね。(笑)


合わないですね。


絶対売れますけど、それだけでやろうと思ったら合わないですね。

全部置かないといけない。冷蔵庫、洗濯機、炊飯器、色んな家電用品。それが無いお店はダメなんですよ。だから独身者が家でいるものは置いておかないとダメ。


でもこれから良くなる事ってあると思います?

家電や道具のリサイクルがまた売れるようになる事って。


もう、無いと思います。


そうですよね。


ちょっと形態を変えていかないと生き残れない。


生き残っている所はどんな風に変わっているんですか?

何か特化するとか?


それは地域によって売れる物が違うからね。今からの時代は僕、若い世代じゃないとリサイクルはやっていけないと思う。


買って来てお店に出すセレクト力がないと、何でも中古で安い物置いていても売れないって事ですよね。


そう。昔みたいに売れる時代じゃない。


海外販売ってどうなんですか?

リサイクルの方って良くフィリピンとか行くじゃないですか。それって良いですか?


うちはやっていないけど、あれは良いですね。


なんでやらないんですか?


それは手間がもの凄くかかる。元気な人なら出来るけど、実際は問題がもの凄く多い。タンスに色んな物を詰めて送って、食器や衣類でもなんでも売れるらしいけど、これがずっと続くかというと・・・どうですかね?僕は問題があると思う。


でも物はまだ溢れているじゃないですか?今までは日本で売れていた訳じゃないですか。

それが5、6年位でガラッと時代が変わって、日本で買った物は外に出さないと売れないという時代が、今もうきていると思うんです。

そうなってくると、店舗構えて在庫を置く商売が国内で成り立って行くのかなって、ちょっと疑問に思ってしまうんですよね。


今、若い人は外国に向けてだけど、僕は日本でも売れると思う。店舗と店のやり方で。

ただ、置く物を考えないといけない。何の商売も一緒だけど、地域に合った物、人が欲しがる物をね。そして値段が安ければ売れる。


今、僕が社内で話すのは、「生き残ろう」と。何か色んな事を必死でやって生き残ろうと。生き残ったら、何か違う形が見えてくるのかなって思っているんです。僕らの業界はある程度、形が出来てしまっているんですよね。


ところでいつ辞めるんです?!その辞めるって概念がそもそもあるんですか?!それ凄く不思議に思うんですよ。僕らは辞めたいから。例えば60歳とかにね。

多分時代的に、面白いと思って商売が伸びていく時代じゃなくて、何か色んな事を考えて色んな苦労に耐えながらキープしている時代だからかもしれないけど。

「早く辞めたい」って思うんですけど、今の60歳70歳の方は辞めないじゃないですか?!


あはははははは!

でも僕も本当にダメと思っているんだけどね。そろそろ引退かなって思ってはいる。


それはスパッと辞められる?


どうじゃろうか?それはわからんね。


もう、人生=仕事みたいな感じですか?


本当の事言うとね。他の事をちょっとしてみたいって思っているんですよ。


商売で?


そう。自分に出来る商売を。

もう今の時代についていけないから。だから他に何かしたいとは思ってる。


いや!それ、しなくてもいいじゃないですか!!(笑)

余生を奥さんと旅行に行くとか・・・


いやいやいやいや!!!


何でですか!!!!(笑)


今までやってきた事が面白いから、それを活かせる何かがないかなって思ってる。


じゃあ、身体が動くうちは仕事がしたいと。


そういうこと。


でも僕らの商売は休みが取れないじゃないですか。だから奥さんと2ヵ月3ヵ月海外旅行に行ってみるとか。今だったら出来るじゃないですか?でも80歳とかになったら行けないですよ?


いやいやいやいや!!!そうじゃない。(笑)


あはははは!いつまで仕事するのかなって!!マジで思うんですよね。


何かがあるような気がする!まだ!!


それだから若いのかもしれないな。


骨董とリサイクルと宝石をやってきて、折角だから他に何か違う事が出来るんじゃないかって今でも思ってる!他に何か良い事があるんじゃないかって!

仕事をしながら楽しみたい。欲とかじゃなくね。


でも、今は娘さん二人と息子さんが立派に跡を継いでやっているじゃないですか?そしたら悠々自適なね。月に一度しか仕事に来ないとか、そんな様な違う趣味の世界があるような気がするんですけど。


いやいやいやいや!!!!


しぶといわぁーーーー!あはははは!!

全然辞めないんですよね!この世代の人達は!!!(笑)


うちの息子が周南店でやっているでしょ?

見ているとやっぱり、まだまだなんよね。


でもね、息子さんも読むから弁護するけど、それは息子さんがお父さんの年代の時に比べたらしっかりしているって!!!(笑)


あははははははは!!

60歳になっているから!だからずっと「まだまだ」ですよ!(笑)


それは親の想いかな?きっとお父さんが80歳になって、息子さんが50歳になって取材に来ても、きっと「あいつはまだまだじゃ」って言っていますよ。(笑)

ポーンって任せられないんですか?


そろそろとは思ってる。


それ、みんな言うんですよ。(笑)


でもね、僕らの楽しみは、物との出会いが楽しい。わかるかね?


わかります。


物がそこにあった時の、出会いが楽しみなんですよ。

だから引退しても、その事を何かやりたいと思っている。


会社は子ども達に任せるとしても、自分ひとりでやれる事はやりたいって事ですよね。

市場に行っても、買取りに行ってもそうですけど、わぁ!っていうのが来た時のね。

快感がね。


あれは快感ですよね。買い取れて自分の物になった瞬間はテンションが上がります。


でも今の時代は、そんな楽しみを平均化して、誰でも出来るようにしている所が伸びているんですよ。

だから僕らの様なワクワクする買取りをして、それが売れた時の忘れられない喜びが、ちょっと時代から置いていかれている感じがあるんです。

この前大手の骨董屋さんと話をしたんだけど、骨董屋さんはお茶道具を買取りに行くと、それで「わぁ、いいな」ってなる。そしたらお茶道具の所には着物がある。そしたら宝石もあると。骨董屋さんは今まではお茶道具は買うけど、着物は断っていた。宝石も興味なかった。でも今は全部買うんだと。そして市場にも出すと。だから1つの事をやるのはどこも今は無理。だからそんな時代になってきたよね。


組んだりしたら面白いかもしれないですね。


そういう事だろうね。


宝石専門の買取り業者と、骨董買取り専門業者が組んで広告出して、どっちもプロですよってやり方もアリかもしれないですね。


だから何でも勉強しなきゃいけないね。だから若い人はそんな事をしていない人が今は多い。

でも僕らはそんな時代の子達と同じ時代を生きていかないといけないから。

年寄りは置いていかれますね!あはははは!!


僕は一回めだかさんに誘われて骨董市に行った時に、「おはようございますと、お疲れさま以外は信じちゃダメ」って言われた言葉を今でも忘れていませんけどね。(笑)

何が本当で何が嘘か分からないって事ですよね。


本当に恐ろしい世界やね。でも楽しい世界でもある。


骨董の売り値を付けるのは思い込みで付けるんです?


いやいやそんな事ない!

やっぱり宝石とかと一緒で、大体の値段はある。


宝石と骨董ってどっちが難しいですか?


骨董の方が難しい。


そうですか!今までで一番高く売れた骨董って何ですか?


それは言えない。(笑)でも匂いがするんですよ。


骨董は僕、わかっていないですね。

骨董市に行って思うのが、自分が思い込んで高く買ったものは、半分くらいになって儲からないんです。でも分からないまま買った物は高く売れるんです。

みんな何でわかるんですか?


あるんですよ、それが。


ちなみに子どもさん達に教えているんですか?指導している??(笑)


言いにくい事ばっかり聞くね!あはははは!!


いやいやいや!教えている?伝授しているんですね??(笑)


これは商売のネタなんだから!!

これは言いにくい所がある!!本当にある!!!(笑)


そうでしょうね。(笑)


宝石も一緒と思う。高い安いがあるように、骨董も値段がいく物、いかない物が出てくる。その見方は一緒と思う。


なるほどね。その角度を見つけたら面白くなりそうですね。

出張買取りに行って、当たり率ってどれくらい?僕らの場合10回行って、11回目に当たる感じ。

骨董の場合は20回行って1回くらい。

骨董の世界って、相見積もあるんですか?


ありますね。

ある所でリサイクルショップが出す10点を見せてもらったら、それは素晴らしい物だった。

それで全部出そうとうちの市場で出したら、凄い金額になった。


家が建つくらいの?


建つくらい。だからビックリしていた。

その中に1つ筆があった。僕らだったらおそらく1万円から2万円。だけど50万円くらいついた。

それでも凄いのに、ある所に持って行って、700万円くらいになったらしい。


50万円で買ったものが?凄いですね!


僕らは気が付かなかったけどね。でも50万円いくのも凄いけど、何か匂いがあるんでしょうね。


答えが無いから面白いのかもしれないですね。作った方は亡くなっているし、後は思い込みだけでしょ?


まだやるの?!あはははは!!


もうちょっと、もうちょっと!(笑)

じゃあこれから子ども達に任せて違う事をするんですか?


もう少ししたら引退させて頂きますので。(笑)


引退してもまたやるでしょ?!


やるやる。(笑)


?

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monobank auction 旧「いちばから」2015年10月号の掲載記事です。

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